© コナモン資料室 All rights reserved.
第50回 一富久
☆★☆ たこやきめぐり 第50回 ☆★☆
一押しのすぐれものたこやき - 一富久 - |
たこやきはどの季節が旬ですか。妙な質問をするマスコミが増えた。 どの季節が合うかと聞かれれば、秋から冬にかけて、と答えるだろう。 ただし、家でたこやきを作る家庭は夏休み前後が多いし、春先の花見にだって、たこやきは欠かせなくなってきているし、当然お正月の初詣には、たこやき屋台と晴れ着はピンとくるではないか。 というふうに考えると、結局、焼きたてならいつでも旬のたこやき、ということになってしまう。 |
| |
| さて、タコヤキストとして密かに残したい店というのはいくつかある。 たくさんのたこやき屋が誕生し、また淘汰されていくなかで、この店はなんとか続けてほしいというお店。 それはやはりたこやき屋さんらしい雰囲気を持つ店である。 もちろん店構えだけではだめで、その店の「器」に合わせた味わいをきちんと出している店だ。 去年出した『たこやきのナゾ』もいろんなお店をモデルにさせてもらったが、今回の一富久さんも、そのひとつということになる。 |
|
場所は阪和線、天王寺から一つ目の駅、美章園。 降りてすぐ際の道を少しもどったところ。昔ながらの小さな商店街がいい味を出していて、八百屋さんを折れて、豆腐屋さんの向かいにある。 その数軒先に美章園温泉があって、ここには銭湯の取材でおじゃましたことがあるのだが、そのとき見つけた隠れた名店が一富久さんなのだ。 |
| |
| 余談だが、美章園温泉は昭和初期の建築物として、大阪でも1、2を争う文化的にも重要な存在。 そのお湯にはいったあと、立ち寄ったたこやきの味はまた格別だった。 |
ソースも何もつけないなにわのたこやきは、その店の雰囲気とも合わせて、昭和30年代開業のときから変わらぬうまさを誇る。 焼きつづける東泰範さんと奥さんの二人三脚もばっちり、店に居座っていつまでもながめていたいなごめる空間。 ふたりの出身である富山の五個荘村のポスターが壁にある。 大阪のたこやきを支え、培ってきたのは、実は大阪以外からの人たちの手によるところが大きい。 |
| |
| たこ焼12個300円。 添加物は一切使わないで、素材の味を生かすために、タコと天かすだけ。 季節に応じて調整されるシンプルなブレンド、シンプルな工程のなかから生まれるたこ焼は、毎日食べても決して飽きのこないさすがの仕上がりなのだ。 | |
オッチャン、もう一人前ちょうだい。 こんなふうにいいながら、ついでにいか焼きもたのんだりして。 たこ焼といか焼のセットもここならではの醍醐味。 たこやきファンならば、一度はたずねてほしい。 焼いてるそばで、鉄板をながめてたら、すごいことに気付いてしまった。 鍋の窪みのひとつひとつの底に、なんだか線がはいっている。 創業当時から変えていないという鍋だけに、いつのまにかハリでまわすときに掻き傷がついたという。 それくらい鍋は年代物らしく分厚い。昔のもんは何でもきちんと作られていたわけだ。 |
| |
| 大阪21世紀協会が「すぐれもの鑑定団」をつくって21世紀に残したいすぐれものを鑑定、私もなぜか副団長なんだけど、個人的に、一富久は一押しのすぐれものだ。
(2000.12.1 取材) |
以上、熊谷 真菜
店 名 | 一冨久(いちふく) | |
---|---|---|
住 所 | 大阪府大阪市阿倍野区美章園2-19-19 JR阪和線 美章園駅下車5分 | |
営 業 | (閉店しました) | |
定休日 | (閉店しました) | |
席 数 | 20名 |
H13.1.30現在のメニュー
たこ焼き(12個) | 300円 |
---|---|
たこ焼き(20個) | 500円 |
いか焼き(小) | 150円 |
いか焼き(中) | 200円 |
いか焼き(大) | 300円 |
鎌![]() | かな![]() |
---|---|
しょう油風味が香ばしいたこ焼きは、ダシの味が利いていて何もつけずにそのままでもうまい。ふんわりした生地は素朴で懐かしい味。 |
おいしかったですね。あれはおいしい。がんそなにわ。 < /TD> |
※この情報はインターネット黎明期である1995年に開設された世界で初めてのたこやき専門ウェブサイト「熊谷真菜のページ」内の、これまた世界で初めてのたこ焼き食べ歩きサイト「月刊たこやきめぐり~なにわのたこやきめぐり」に掲載されていた情報です。
※お店の住所・電話番号・価格など、内容は特に記述のないものは取材当時のものです。
※お店の公式サイトなど、リンク先が閉鎖されたり変更されている可能性があります。
※紹介したお店はすでに移転・閉店されている場合がありますのでご注意ください。