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第5回 十八番

☆★☆ たこやきめぐり 第5回 ☆★☆

 
ホームからでも注文できそう
- 十八番 - 
 西中島南方。
 新大阪のひとつ手前、御堂筋線の長い駅名は、阪急電車京都線の南方駅と交差する。普通しか止まらないくせに、行きかう人の数はすごい。
 学生、OL、ビジネスマン、住人。さまざまなタイプの大阪人が、入れ代わりたちかわり出入りする。そのためスーパーからコンビニ、ケーキショップ、ビジネスホテル、居酒屋にまざって、一流企業の自社ビルもあるわけだ。
 さて、阪急南方駅のホームからでも注文できそうな角っこに、お目当ての”十八番”がある。
 11月でまる6年というから、それほど古い店ではない。通りに面して、黒く焼きこまれた銅の鍋が並ぶ。コナを流すと、これでもかというほどの大量の天かす。あふれる具材を、しゃれたユニフォームのお兄さんが、2本のハリをたくみに、丸く仕上げていく。
 カウンターに腰掛け、一人前注文する。女子高生のグループもいれば、女性ひとり客も次々とやってくる。
 天麩羅に似合いそうなチリトリ型の器に、たこ焼きが10個。12センチ楊枝をつかって、まずはひとつ。かなりカリッとしている。
表面には天かすの名残りがあるものの、どこへ行ったかと思うくらいあっさりとした味わい。 満足気に店を見回していると、冷蔵ケースに牛乳パックがどっさりと並んでいる。ここはたこ焼き以外のメニューはない。いったい何に牛乳をつかうのか。
 ここで、オーナーの石井富美江(とみえ)さんに登場してもらおう。
 小柄だけれど、シャキッとしたミセス。白いトレーナーがきまっている。富美江さんは、根っからの大阪の女。お母さんの代から喫茶店や飲食店を手がけてきた。ここも、たこ焼にするまえは串カツを出していたという。
 「たこ焼は小さいときから食べてましたけど、最近おいしいたこ焼が少なくなってきまして。同じやるなら、食に通じてる人に食べてもらえるような、いいもんを出したいと思いまして、主人と店長と3人でいろいろ工夫を重ねました。
 何かたらん、なんやろ。かくし味に何をつこたらいいのか、いろんなとこを食べ歩いて研究したんですよ。タコの代わりにチーズを入れますでしょ。その発想でコナを溶くときに、牛乳入れるのを思いついたんです。ただ、入れすぎるとクドイし、足りないとあかんし、量を決めるのがたいへんでした。
 味のレベルでは、ほぼ完成したんですけど、どんな出し方があるのか、そのへんにもこだわりました。私はやっぱりOLの人に気に入ってもらいたくて、女性ひとりでも、気軽に来てもらえるように、雰囲気づくりは今でも気をつかっています」。
 「お客さんがお客さんを呼んできてくれはる」-母娘二代の合言葉だ。
 口コミの評判を落とさないように、素材の吟味に力がはいる。タコはもちろん店でおいしい形に切りわける。大きければいいというものではないらしい。
 焼きの技は、スタッフを一年がかりで指導していく。
「まじめな人なら大丈夫です」。富美江さんのめがねにかなえば、たこ焼名人も夢ではない。
 屋号の由来を聞いてみた。「主人が18日生まれで、当たり番号なんですよ」。「おはこ」と読めば、得意中の得意を意味するけれど、ここは、「じゅうはちばん」と読ませるらしい。そっと裏方に徹する、富美江さんのスタイルが、屋号の読み方にも反映されているようだった。

以上、熊谷 真菜

《探偵メモ》
お店の名前→十八番
お店の住所→大阪市淀川区西中島3-17-17
06-306-1853
阪急南方駅のすぐ横、徒歩1分弱
京都方面行きのホームから見えます。


営業時間→12:00~23:00(祝日は11:00~22:00)
休日→日曜日 
今年の夏休みは、7月19日~22日です。 
席数→カウンター:9席 テーブル:2人掛け1席、3人掛け1席
待ち席あり
メニュー→たこ焼き10個\350
15個\500
生ビール小\350
ウーロン茶、ジュース \150

記者のコメント探偵のコメント探偵のコメント
熊谷さん、「好っきゃねん大阪」編集部の吉田さん、鎌田さんとともに今回訪れることになったタコヤキ屋十八番さん。
お店の人は知らないけれど、実は私の軽晩御飯どころの一つ。
天かすがカリカリッとしてて、牛乳たっぷり、タコも程よい大きさで、非常に美味。
これからの季節、冷えた生ビール片手に熱いタコヤキをハフハフするのが心待ちな毎日です。
「たこやきめぐり」を始める前は、たこやきに天カスなんて思ってもいなかったのですが、やっぱり、たこやきには天カスが必要です。女性を意識してるだけあって、とてもきれいなお店です。是非店内で、あつあつを食べてみてください。とってもおいしかったです。
お店の前も広く、外にも店内にも待ち席があり、お持ち帰りで、食べ食べ帰るのもおいしそう。
お話を聞いていて、オーナーの思い入れには、引き込まれるものがあり、なんだか「自分も頑張ろう」という気持ちになりました。
出されたのは天かすいっぱいで、こんがりと焼けたたこやき。最初の見かけから固いかなとは思っていましたが、あつあつを口に入れると、コリコリとした歯ごたえに天かす、ミルクをまじえたオリジナルの味がとてもおいしかった。
店の雰囲気もアットホームな感じでカウンターに座って食べるだけでおいしいたこやきと一緒であったかい気持ちになれます。
(持ち帰りより、あつあつをこのカウン
ターで食べるのがおすすめです。)
夏記者とは、かの有名な「マップル」を出版している
株式会社 昭文社 大阪支社旅行書編集課 の記者
堀井 千夏 さんです。
tel: 06-350-6455
旅行編集課では、たべあるき雑誌「お気軽グルメ」を発行しています。

※この情報はインターネット黎明期である1995年に開設された世界で初めてのたこやき専門ウェブサイト「熊谷真菜のページ」内の、これまた世界で初めてのたこ焼き食べ歩きサイト「月刊たこやきめぐり~なにわのたこやきめぐり」に掲載されていた情報です。
※お店の住所・電話番号・価格など、内容は特に記述のないものは取材当時のものです。
※お店の公式サイトなど、リンク先が閉鎖されたり変更されている可能性があります。
※紹介したお店はすでに移転・閉店されている場合がありますのでご注意ください。

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