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第6回 3ちゃん

☆★☆ たこやきめぐり 第6回 ☆★☆

 
3ちゃんワールドへようこそ
- 3ちゃん -
 食品の開発、企画といった仕事のうえで、いつもいっしょに仕事しているプランナーに西川という男がいる。とにかく食にうるさくて、典型的な京都人で、おまけにB型で、やせていて、最近うすくなった頭髪をアートネーチャーにかえて、ヤサ男を演じている。
 これだけで、勘のいい方はどんな男かを想像してくださるだろう。仕事ができるから、私も頼っているけれど、これがタダのおっさんなら、ゼッタイつきあいたくない。必要以上に礼儀正しく、ときおりオバサン風に私の肩をたたいたりして、温和な私も彼にだけはイラつかされる。

 去年独立し、イーブンという会社をつくって、いよいよマイペースになった西川だが、彼が何かにつけて「3ちゃんのたこ焼食べはりました?」と聞いてくる。私が首をふると「はよ、食べに行ってくださいよ。なんやったら私がお連れしますから」としつこい。
 それで今回は、とにかく味にうるさい西川のご推薦の「3ちゃん」を訪ねることにした。 大阪中津、東洋ホテル前。ここにケッコウイケルたこ焼屋台があることは、情報として知っていた。ただ開店が夕方。子持ちの母としては時間が許されない。そんなこんなでなかなか食べに行けなかったのだ。
 意を決してさあ、突撃。もちろん西川も同行してくれた。
 中津1丁目の角に屋台は開いていた。すだれをくぐる。中は広い。マル椅子に腰掛けて、しばし観察。とにかく主人らしきおっちゃんが、しゃべり続けて、ことばをはさむ余地がないのだ。まごまごしていたら、お客さんのひとりが、そばのクーラーボックスからビールを取り出してくれた。
 「さ、サラリーマン、今度はなにをたのもうか。お嬢さん何が食べたい? え? すいか? よしよし、ではサラリーマンに千円ずつ出してもらって、すいかをご用意いたそう」。すると主人のそばでニコニコと座っていた青年が「行ってくるわ」と、すいかを買いに走る。
 カウンターのまえのたこ焼の鉄板では、コロコロとたこ焼が焼かれる。主人は思い出したように焼きはじめる。ごま入り、ねぎ入り、何もなし。どうやらこの店のメニューは3種類のたこ焼を核にして、あとはオーダーすれば、近所の特約店へだれかが買いに走ってくれる、らしいのだ。
 いつのまにか、私たちのまえにたこ焼の皿が並ぶ。ソースのついているのもあれば、ないのもある。探偵たちも、おそるおそる爪楊枝で口に運ぶ。雰囲気がいつもとちがう。主人の会話、作業に独特のペースがあり、それに割り込んで、口をはさむことがなんとなく許されない雰囲気なのだ。
 「この店はいつごろからあるのですか」。なんとか質問を発したとしても、「おとといからや。きのうまでは開店セールで、オール半額やったのに、惜しかったなあ」なんて表現で、はぐらかされる。 はっきり言おう。この店はたこ焼屋というより、飲み屋さんなのだ。森本益光(ますてる)というママさんならぬパパさんのファンたちが、たこ焼食べたいと言う口実のもとに、彼と一目、一言交わそうとどこからともなく集まってくる一つの世界、と定義づければいいだろうか。
 りっぱな西瓜がちゃんとカットされてやってきた。大阪の路上で食べる西瓜は格別。種をとばしながら庭で食べた、幼い頃がよみがえる。喜ぶお嬢さんたちの様子を見守り、演出家の益光クンもご満悦のはずだ。
 不思議な屋台たこ焼をあとにして、梅田まで歩く。結局、何も聞けなかった。こんな取材もたこ焼屋も、タコヤキストにとって真夏の夜の初体験だった。

以上、熊谷 真菜


《探偵メモ》
お店の名前→3ちゃん
お店の住所→大阪市北区中津1丁目あたり
東洋ホテル前
営業時間→18:00頃~お客さんがいるまで
休日→年中無休らしい 
席数→10人位かなー立ち席あり
メニュー→たこ焼き12個\500
その他色々

探偵のコメント探偵のコメント
ホテルの前の屋台?…想像でけへんなあ、と思いながら行ってみると…。ひゃー、ほんまもんの屋台やわあ。(@o@) 車がびゅんびゅん通る道路の脇、ビルの谷間に、ぽっかりと浮かぶ屋台のちょうちん。
これが「たこ焼き屋」???…ほんとにたこ焼き屋でした。メニューは、ねぎ・ごま・ふつうの3種類。お客さんは常連さんばっかり。お客みずから、ビールやウーロン茶の缶を出したり、新しいお客さんの為にイスを出してあげたり。ホームパーティーってな雰囲気。ポンポンポンポンと軽妙なおしゃべりが途切れることのない「おやじさん」のペースにはまりこみ、楽しい一時を過ごしました。
さて、肝心のたこ焼きのお味の方ですが…、私は「ごま」がよかった。たこ焼きに「ごま」を入れるのは珍しいと思います。風味がありました。しかも中のタコがばかでかい!かみ切るのがホネでした。
それに「たこやき」を食べに行ったのに、なぜかスイカまでごちそうになってしまった!外でスイカを食べるなんて何年ぶりです。とても甘くて美味しかったです。ごちそうさまでした。最後に「また来いよ」という声に送られて帰路につきました。
たこやきやさんの屋台というより、どちらかというと夜にサラリーマンや若者たちが、集まって一杯飲みながら話したり、わいわいやる「みんなのたまり場」的な一杯飲み屋という感じ。最初っから大将さんちゃん(勝手に呼ばせていただきます。)の軽快なしゃべりにペースを乱されてしまった。たこやきはもう少し食べたかったです。いつのまにかすいかに化けてしまっていて・・・。ごま入りのたこ焼きは、びっくりしましたが意外にたこやきに会う感じで
私は一番おいしくて印象に残りました。「さんちゃん」は、大阪の町のHOTな空間という感じであったかな空気を味あわせてくれました。

※この情報はインターネット黎明期である1995年に開設された世界で初めてのたこやき専門ウェブサイト「熊谷真菜のページ」内の、これまた世界で初めてのたこ焼き食べ歩きサイト「月刊たこやきめぐり~なにわのたこやきめぐり」に掲載されていた情報です。
※お店の住所・電話番号・価格など、内容は特に記述のないものは取材当時のものです。
※お店の公式サイトなど、リンク先が閉鎖されたり変更されている可能性があります。
※紹介したお店はすでに移転・閉店されている場合がありますのでご注意ください。

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