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つちはしフーズのいかやき
今年で52年になるとご主人は仰っていた。
25年前に出た『ぴあ まんぷく図鑑’94』に掲載されていた記事を見て訪れたのだけど、掲載されていたいかやきの値段が200円。現在は230円。ほとんど値段が変わっていない。
「お客さんは学生さんなので、そう値上げはできませんね」
確かに目の前に学校があり、客の多くがそこの学生、あるいはその卒業生だそうだ。
私が訪れたのは日曜日だったので学生の姿は見えなかったが、近所の人らしき2人連れが慣れた様子で注文をしていた。
私が読んだ『ぴあ まんぷく図鑑’94』にはこんなことが書いてあった。
「「いか焼って知ってる?」と尋ねたら、大阪では10人に8人が知っていたが、神戸では2人しか知らず、京都ではひとりも知らない、という結果が出た」
たったの25年前、いか焼は大阪でしか知られていない食べ物だった。これは意外な事実だった。
2代目だというご主人は、若い頃はよく百貨店の催し物に店を出していたという。遠くは北海道にまで出向き、まず「いか焼」とは?というところから説明し普及に努めたという。
その本には「そのおいしさに惚れ込んだ大山のぶ代さんが弟子入りした」というエピソードも書かれており、これについてもうかがってみた。
大山のぶ代さんは大阪で舞台があったときに差し入れでもらったここのいか焼を惚れ込み、大阪に来る時はいつも注文してくれたという。そして実際に自分で作り方を教わりに来、そして原宿にいか焼の店を出店したのだと。
しかし店を閉めたのは、売れなかったからではなく「売れすぎたから」だという。
ご主人が作っている姿を見るとすぐにわかるが、つちはしフーズのいか焼は非常に丁寧に作られていて、短時間に大量生産ができるようには思えない。たくさん注文が入るのに作るのが追いつかなくて、大山さんの店は結局商売として成り立たなかったようだ。
つちはしフーズのいか焼はゲソは使われていない。そして生地が厚く、ボリュームがある。
写真にある「いかやき」(プレーンのもの。230円)は2人前ではなく、これで1人前。
食べ歩きに便利な「かたやき」(290円)は2回焼いたものでとても香ばしくておいしい。ソースは中に入っており、たれないので食べやすい。
今年も学校のOBが店を借り切って新年会が行われたという。
学生街の、本当に理想的なお店だと思う。
是非また訪問して食べたい。