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アンマン旧市街のクナーファ、食堂、ピッツァの原型
旧市街の市場を目指します。国民的おやつクナーファの名店やローカル一推しの食堂、ピッツァの原型のようなパン屋さんにも出会いました! #ヨルダン #ホブズ #クナーファ
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▶会長レポート
- 国民的コナモンスイーツ「Kunāfah(クナーファ)」
旧市街のスーク(市場)をめざして、Uberタクシーで出発!
まずは、アラブの代表的コナモンスイーツ「クナーファ」専門店を目指しました。
ブルーとシルバーの看板で、お菓子屋さんらしくないのですが、実は水メーカーの看板、というのが後でわかりました。
クナーファの名店Habibah Sweets ハビバスイーツは、お菓子屋さんなので、
本店ではさまざまな甘~いお菓子が大陳されています。が、地元の人はすぐ近くのこちらの支店で、クナーファだけを買って、持ち帰らず表に腰かけてサクッと食べるようです。
私たちも、
5.2 Twisted With Cheese Kilo
4.5 Warbat With Cream Kilo
1.4 Quarter kilo kunafeh
水2本
をさっとたのんで、紙皿のクナーファ達をもって、石塀に腰かけていただきました。
シロップがかかり、見るからにカロリーの高そうな甘くて濃いお菓子ですが、一口食べるなり、甘さとチーズの塩味、表面のパリッとした部分と、なかのトロリ部分、ピスタチオのカリットまで、食感を楽しめます。
カダイフを巻いたツイスター、パイ生地のようなワルバットも、基本味は同じで、食感がそれぞれ独特で、コーヒーがあれば、ペロリといけちゃう感じ、男性が立ち寄るのが目立ちます。
13世紀の料理書にも掲載され、『千夜一夜物語』にも登場するという「クナーファ」。日本でいうとどんなお菓子にあたるのか、煎餅とか、大福、いずれにしても、もっとも有名な定番お菓子であることを確信しました。
Wikipediaには、「タバク」という鉄板を使うと書かれてありますが、切り取るコテのような道具の名前も今度行ったら確認したいものです。
以下、WebサイトのWikipediaクナーファから引用です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%95%E3%82%A1#cite_note-Roden-2
菓子クナーファは地域によって異なるが、概ね、クナーファ生地でフレッシュチーズやナッツ(クルミやアーモンド)、濃厚なクリーム(カイマクなど)を挟むか包んで焼き上げシロップをかけた菓子である。形状には2層のクナーファ生地の間にフィリングを挟んだものと、クナーファ生地でフィリングを巻いたものの2種類があり、前者は大きな浅いトレーで調理される。チーズやクリームのクナーファは温かいうちに食べられ、ナッツのクナーファは冷やしても食べられる。クナーファ生地を揚げるか焼くかした後に蜂蜜をかけ、その上にクリームか刻んだナッツをかけるとクナーファ・ビル・アッサル(كنافة بالعسل)と呼ばれる。レバノンでは、チーズのクナーファをゴマをまぶしたカアク(كعك)というパンに挟んで朝食に食べることがある。
起源はファーティマ朝である。13世紀半ばアイユーブ朝時代末期の『友人との絆』(al-Wuṣla ilā al-ḥabīb)というアラビア語の料理書などに言及され、千夜一夜物語にも靴直しのマアルフとその女房ファティマーなどにしばしば登場する。イスラム教のラマダーン期間中に好まれるデザートとして、カターイフとともに最もよく知られている。アラブ世界以外で名称にカターイフとの混乱がみられるのは、かつてクナーファ生地とカターイフがどちらも同じ生地から、タバク(طبق)という鉄板を用いて作られていたためである。
エジプトのクナーファ(コナーファ)のフィリングには、ナッツにレーズンを加えたものやカスタードクリーム、クリームを包んだものもある。
イラクでは、クナーファ生地でナッツを巻いたものはバクラーワ・シャアリーヤ(بقلاوة شعرية、「細麺バクラヴァ」)、焼き色をつけずに仕上げたものをバクラーワ・バッルーリーヤ(بقلاوة بلورية、結晶バクラヴァ)と呼び、チーズやクリームをクナーファ生地の間に挟んで大きなトレーで調理したものをクナーファと呼ぶ。
モロッコでは、きつね色に揚げたワルカ(ورقة)という薄い生地の間に揚げたアーモンドとアーモンドミルクの甘いソースを挟んで層状にしたデザートをケネッファと呼ぶ。
トルコでは、クナーファ生地をカダユフ(トルコ語: Kadayıf)と呼び[8]、菓子クナーファをキュネフェ(tr:Künefe)または カダユフ・ドルマ(「カダユフ包み」)と呼ぶ。カダユフ・ドルマに関しては、ルーツの論争がある[9]。カダユフ生地をパンで代用すると、エクメク・カダユフ(Ekmek Kadayıfı)というブレッドプディング風の菓子となる。
ギリシアではクナーファをカタイフィ(ギリシア語: Καταΐφι, Κανταΐφι)と呼び、カスタードクリームやナッツを包む。
ブルガリアでは生地と菓子両方をカダイフと呼び、ナッツを包む。
アルメニアではナッツを包んだ菓子をテル・カダイフまたはクナフェ、チーズを包んだ菓子をバニロフ・テル ・カダイフと呼ぶ。前者には好みでイチゴやカイマクを添え、後者にはシロップをかけた後で刻んだピスタチオをふりかける。
フランス料理やイタリア料理ではクナーファ生地をカダイフと呼び、デザートのほか、魚や肉を包んで調理するのに使用される。
- にぎわうHashemレストラン@アンマン旧市街
運転手さんに、おススメの店をきいたら、Hashem Restaurant Down Town
を教えてもらいました。グーグルマップではファラフェルレストランとなっていますが、
ファラフェルだけでなく、このエリアの定番メニューがそろっているようです。
オープンな雰囲気なので、どこでどう注文していいかもわからず、とりあえずフムスなどを並べられている屋内に入りました。クリーム色と茶色のアラブらしいお皿のフムスにオリーブオイル、ひよこ豆がトッピングされていきます。
タイル壁には額入りの写真がいっぱい、きっと有名人が来た時に記念写真。アブダビ現国王のお父さん、息子さん三代のセット写真も大きく飾られています。ちなみに日本の皇室とのご縁も深いヨルダン国王三代のお写真は、空港、ホテル、モスクからお店まで、どんなとこにも飾られてるんです。
その前で、グリーンのユニファームの店員さんたちが、きめ細やかに仕事をしています。
テーブルにはクロス代わりのペラペラの白いシートが敷いてあります。フムス、こんがり揚げられたファラフェル、生野菜の盛り合わせ。トマト、玉ねぎ、ミント、キュウリのピクルスが鮮やかです。この3点セットにパンがついて1000円ぐらい、常連さんは、ミントティーといっしょに、パクパク手づかみで食べます。庶民の食堂では、カトラリーは少なく、あってもプラスチック製のもの。それより指という、もっとも基本的なフィンガーカトラリーでめちゃくちゃ達者に食べている人たちを見るだけで、食欲が湧いてきます。もちろん片手でパンもちぎってるので、右手をメインに使うというアジアの習慣はこのエリアでも健在のようです。
パンの空洞部分に、ファラフェル、フムス、野菜をはさんで! お豆のたんぱく質、野菜4種、エネルギーのホブズ、オリーブオイル、思えば完全栄養食セットですね。
坂や階段が多く、よく歩いて、よく食べて、健康になれる街だと思いました。
- 柘榴の季節のザクロジュース
訪問した10月末は、ザクロの旬なのか、ジュース店をみつけたら入って、いっぱい飲みだめしました。プレスのジューサーに種ごと入れて絞り、漉してカップに入れます。そのせいか、ちょっとした渋みと甘さ、酸味が絶妙なザクロフレッシュジュース。贅沢極まりないですが、こちらでは別に・・っていうか、バナナジュースぐらいポピュラーみたい。
しかも、道端で男性がザクロをポリポリ。種ごと食べちゃうのもびっくりです!
- ピッツァの原型みたいな市場のパン
旧市街の市場、連日の訪問です。
Souq AL-Sukar には、アンマン最古のフセイン・モスクもあり、ほぼローカルの人たちで賑わっています。ここには、あらゆる生活用品、食料品の個店が並び、アイテムを数えたら、きっと世界一かも、って思えるくらい。
羊をさばいたお肉が何本も天井から吊り下げられていたり、オリのなかには、何色もの鶏たち、七面鳥、鳩、アヒル?までは想定内ですがよく見たら猫までいます。ムスリムは開祖ムハンマドが猫好きで、その清潔さから敬愛される動物なんだそう。とにかく猫を大事にするので、街中に猫がいます。石畳の坂を悠然と闊歩し、人への警戒もないので、猫好きにはたまりませんが、鶏と一緒に猫がいるというのは、飼っているのかどうか、?がいっぱい浮かびました。
こういう庶民クラスの異文化を楽しめるのもスークならでは。衣料品ストリートでは、ミシンがけの音が響きます。何軒も縫製屋さんが軒を連ね、民族衣装からジーンズまで、ミシンがけをしています。全員男性、というのもびっくりですが、丁寧なお仕事をされていて、ここに衣装の発注をしてみたくなりました。
雑貨屋さんでは、お風呂でつかう巨大なへちまや、石鹸など、きっと何千年も前から使われていた日用品が、21世紀も変わらず愛用されてるのが、ほほえましいというか、有難いというか。
そんな一角に、回転鉄板に金属のカバーがつけてあり、横からガス火を出しながら、横型半オーブン鉄板を使って焼く、パン屋さんがあります。屋号をきいても両手でスルーされるほど、一切装飾はないのですが、使う道具から、生地の弾力、のばし方、できあがりの大きさから一瞬、ピッツァ?と思うほど、ナポリピッツァに近いパンを焼いています。
パリッと軽く、もっちりこそしていませんが、近いイタリアで、発酵をすすめた生地になった時期や経緯は、生きてるうちに確認したいものです。
最初のレストランのパンも直径20㎝以上ありましたが、こちらはその一回り大きく、直径25㎝ほどの薄型です。鉄板が回転する間にやきあがるので、焼成時間もピッツァと近い。手早くどんどん焼いて、どんどんお客さんがやってきます。1枚なら試食OKみたいな、ヨルダンスタイルですが、これを何枚も買っていくのが普通で、たまに昼食用にチーズ、玉子をのせた特注1枚をお金を支払っていく常連さんも。
まさにピッツァの原型はここにあり、というのが確認できた瞬間です。これにナポリでは、トマトソースが加わり、いまのピザ世界普及に至っているのかもしれません。
中東は遠い国ですが、人類の起源を思うと、このエリアの食文化研究は重要だと痛感します。
連日来たので、焼き手のお兄さんも顔なじみ、みたいに喜んでくれました。
この独特の鉄板オーブンの職人さんにもお会いしたいです。
言葉はほとんど交わしていませんが、彼の技を見て食べるだけで、このお店が地元に不可欠なのだと、ホブズの国の食文化のありがたさを私も体感させていただき、感謝です。
参考文献
『世界の食文化 アラブ』農文協2007年
参考Webサイト
*世界の郷土菓子* イスラエル・パレスチナの「Kunāfah/クナーファ」
https://traveling-pp.com/sweets-memo/Kun%C4%81fah/