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第10回 会津屋

☆★☆ たこやきめぐり 第10回 ☆★☆

 
何もつけない、何もかけないたこ焼の原形を今日に伝える老舗
- 会津屋 -
 月刊たこやきめぐりも、記念すべき第10回を迎えることになり、これもひとえに見にきてくださる皆さんのおかげと感謝いたします。ありがとうございます。
 担当の鎌探偵は、咲探偵たちとともにこのページを支えてきただけあって、10回目というだけで、大きな体をふるわせてウルウルしている状況です。そんな彼の強い希望で今回は、地下鉄四ツ橋線玉出駅すぐの会津屋さんにおじゃますることになりました。

 さて会津屋といえば、たこやき通にとって当然というか、玄関口というか、ここを知らずしてたこやきを語るなかれ、とまでいわれるほどの老舗です。
 実はこの私も二十歳の春までは知らなかった。本にもくわしく書いてますが、だしをつける明石焼、ソースをつけるポピュラーなたこ焼だけをたこ焼と信じて疑わなかったときに、このたこ焼に出会うと、なんとも強烈なカルチャーショックを受けるものです。

 何かをつけることが常識になっている現在、何もつけないまま、焼きつづけることが、どんなに勇気ある行動か、どんなに自信ある営業か、理解してもらえるのではないでしょうか。もっと具体的に数字をあげるなら、昭和10年、先代の遠藤留吉さんが、たこ焼というのれんを掲げて以来、ほとんど何も変えることなく、たこ焼一筋でやってきた証が、ここの店にあるわけです。

 思い出せば1983年、先代夫妻にお会いし、2時間あまりおはなしをうかがったことは、私のたこやき研究の出発点でした。だしとソース、そして何もつけないたこ焼という3つの形態を確認することで、たこやきのルーツ探究はよりスムーズに運んだのです。
 屋号の示すとおり、遠藤さんは福島県の出身です。当時の大阪は東京以上に発展し、活気づく町でした。そこへやってきたまだ若い遠藤さんがはじめたのは、たこ焼の前身であるラヂオ焼の屋台だったのです。
 ラヂオ焼とは、肉系統をぬいたお好み焼きをたこ焼の型で焼いたものだと思ってください。味ももうひとつ、子供がおやつがわりに1個2個単位で買っていく小さな食べものを、大人の味に高めようと、遠藤さんの試行錯誤がはじまりました。毎日失敗作を食べながら、やがて会津屋の味が確立されていったのです。
 昭和8年ごろには、すじ肉などを甘辛く煮たものを具につかったりもしていたある日、「ここは肉かいな、明石はタコ入れとるで」というお客さんのことばをきっかけに、タコがはいったラヂオ焼、つまりタコ焼の誕生です。でも道具屋筋のおじさんによれば、たこ焼の鉄板は、戦前はまだラヂオ焼の鍋として売っていたということです。

 戦後食糧事情も落ち着いてくる30年代から、本格的にたこ焼とネーミングされた屋台がたくさんあらわれてきます。ついでに言っておくと、ソースやだしにつけることも戦後になってからです。もともと何もつけない、これがたこ焼の本来の姿でした。
 先日中京テレビの仕事で、だちょう倶楽部とともに名古屋のたこ焼屋さんを10軒食べ歩きました。名古屋のたこ焼事情が、すごくおもしろいので、いつか特集したいとも思ってますが、この中のあるお店の主人は、会津屋のたこ焼が手本だ、と豪語していました。何度も食べにいき、あやしまれながらも、技を盗みに行かしてもらったそうです。

 うちのたこ焼は、外はパリっと中はトロッと、まあシュークリームのような感じですわ。これがほんまもんのたこ焼や、ということを世界の人に伝えたいと思てます。
 2代目吉蔵さんの手によって、先代が育てた「なにわの味」は、いよいよ世界の味にはばたこうとしている。

以上、熊谷 真菜

《探偵メモ》
お店の名前→会津屋
お店の住所→本店:大阪市西成区玉出西2-3-1
TEL:06-651-2311
地下鉄玉出(国道26号線)出てすぐ
ナンバ店:なんなんタウン
TEL:06-649-7708
千里中央店:センチューパル2F
TEL:06-832-9326
他、ナンバ高島屋地下1階「日本の味コーナー」
伊丹空港内売店
姉妹店 近鉄針中野
本店営業時間→7:00~21:00
本店 休 日→金曜日・1/1,2
本店 席 数→カウンター10席、ドライブスルー方式でも買えます
メニュー→小皿(12コ) 400円
大皿(15コ) 500円
玉子入り14コ 600円
ねぎ入り14コ 600円
ビール缶 300円瓶 400円

リーフより

毎度ありがとうございます
TV・マスコミでおなじみの大阪名物会津屋のたこ焼です。
’95APEC大阪会議で世界の方に味わっていただいたたこ焼です。
大阪のたこ焼は、昭和8年、会津屋の初代遠藤留吉が肉・コンニャクなどを入れて焼いたラジューム焼(又はラジオ焼)がはじまりです。
その後もっとおいしい大人の味をと考え、昭和10年、「明石のたこ」と「ころも」に味をつけて焼いた大阪のたこ焼が生まれました。
 戦後、ソースの普及によりころもに味がなくなり、色々なものが入ったのが出まわって、庶民ほんらいの味からはなれたものが増えてきました。
 たこ焼とはソースをつけない、手もよごさずさめてもおいしいのが本物です。
なにわの味、大阪の味、それを代表するのが元祖会津屋のたこ焼です。
皆様の憩の友、おみやげとして、六十数年焼き続けて参りました。
これからも味の追及を続け、よりおいしいたこ焼 皆様に愛されるたこ焼を目指してガンバリますのでよろしくお願いします。
店主

探偵のコメント探偵のコメント
大阪のたこやきを語る上でこの会津屋ははずすことのできない店です。この店のたこやきをリーフは全て言い表してくれています。
APECの関西PLAZAで屋台を出してノック知事がサムライボールと紹介していたたこやきです。真菜さんも本を書くとき、この店の先代留吉さんと今の社長にはお世話になったそうですが、今回社長みずから迎えてくれました。この店のたこやきは、ソースがなくても味がついていて、なにわのコテコテ味のソースの味しかしないのでなく、あっさりしていて、さめてもおいしいので好きです。
話好きな社長で、いろんな話をしてくれました。今度の大阪ドームのオープニングイベントで屋台を出すとか、先日、朝丘雪路さんがテレビの番組で来てくれてから、大阪に来るたび買いによってくれるとか、鶴瓶さんが近鉄劇場に出演している方の陣中見舞にということで出前を頼まれて持っていったとか、川中美幸さんの「たこやき人生」という曲は、ご両親をモデルに河島英五さんがつくってくれたとか。
話はじめたころは、客がほとんどいなくて、にもかかわらず、たこやき台全面を使って焼き始めたのをみて、客おらんのにこんなに焼いていいのかと思っていたら、またたく間に客が買いにきて、あっという間になくなった。
「元祖」というだけあって、素朴な味のたこやきです。
「おやつによし!つまみによし!手みやげによし!3拍子そろったたこやきだ!!」
と主人が力説していましたが、おっしゃる通り、冷めてなお美味しかったです。
10回目とあって、私も知恵が付きました。
冷めたたこやきのアレンジに挑戦!
鰹だしに入れて、明石焼風に食べてみました。
ソースの付けていないたこやきは、色々なアレンジが楽しめるので好きです。
たくさん買いすぎても、飽きません。
「ここのたこやきは、冷凍しても良いかも」と思いました。


※この情報はインターネット黎明期である1995年に開設された世界で初めてのたこやき専門ウェブサイト「熊谷真菜のページ」内の、これまた世界で初めてのたこ焼き食べ歩きサイト「月刊たこやきめぐり~なにわのたこやきめぐり」に掲載されていた情報です。
※お店の住所・電話番号・価格など、内容は特に記述のないものは取材当時のものです。
※お店の公式サイトなど、リンク先が閉鎖されたり変更されている可能性があります。
※紹介したお店はすでに移転・閉店されている場合がありますのでご注意ください。

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