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第41回 香港餃子丸

☆★☆ たこやきめぐり 第41回 ☆★☆

世界のたこやき的フード、全員集合!
- 香港餃子丸 -

 大阪は大阪でも南大阪、泉州といえば岸和田。岸和田といえばだんじり
 そもそもだんじりは祭りの山車のことだから、日本全国にあるものだけど、関西でだんじりといえば、岸和田が代名詞のようになっている。
 九州中津市出身の祭り好き青年(彼は熱血たこやき小僧の永松茂久クンといって、この1月から某チェーンでたこやき修行にはいっている)も、だんじりの時は、岸和田詣でをするという。
 荒っぽいあの迫力は都市部ではもうみられないものだけに、だんじり=岸和田というイメージが定着しつつあるのだ。
香港餃子丸の屋台
ポッフェルチェスのポスター
 さてきょうの舞台は最近オープンした岸和田カンカンベイサイドモール
 だんじりのとき以外は落ち着いた古い街並みの海辺に、アミューズメントパークのような一角が出現。
 この中で香港餃子丸と名付けられたたこ焼が登場したというのだ。
 海のみえるテラスに面したフードコートで待っていると、餃子丸仕掛け人の竹本一善社長が現れた。なんだか芸人さんのような親しみやすい風貌、巨大なカバンにも驚き。ふつうの社長さんイメージとは正反対のキャラクターなのだ。
 名刺には株式会社タケモトフーズ。「世界のおいしいを日本のおいしいへ」。
 お話を聞けば聞くほど、軽いノリからは想像もできない世界が広がっている。もともと料理好きだった竹本さんのスタートは、鳥取大学在学中のたこやき屋台。その後イズミヤの食品担当バイヤーから34才で独立。それから12年、軽いフットワーク、ノリノリの経営センス、さらにあふれでるアイデアを形にしていく企画力で、さまざまな屋台ブランドを各地の食シーンに成功させているエッグタルト、ベルギーワッフルなど、竹本さんの仕掛けはとどまるところを知らない。
ポッフェルチェス(オランダのたこやき)
竹本社長と真菜さん
 最近の商品はポッフェルチェス。オランダ屋台、ひと口タイプのふんわりカステラとでもいおうか。焼き鍋がまるでたこやきの鍋で、アムステルダムでこれをみつけたときは歓喜したという。機械もオランダ製、見た目もたこやきとは別の世界のもの。
 ただし隣りの屋台では、お目当ての餃子入りたこやきが焼かれているわけだ。

 本題にはいろう。注目の香港餃子丸は、タコの代わりに餃子の具が入る。生地はやや明石焼に近いやわらかタイプ。これに餃子のタレをつけて食べる。なかなかおいしい。
ただしこれはたこやきなのか。餃子なのか。一瞬考えこんでしまった
餃子丸焼き上げ中
ほぼたこやきと同じ
 「なかなかうまいなあ」。自分で開発した商品に改めて舌鼓を打ちながら竹本さんは、しゃべりつづける。
 「原点には下町のあんちゃんというか、長屋の住人みたいな感じ。じゃりん子チエとか、あしたのジョーがいるんやね。とにかく屋台が好きなんやわ。
大道芸というか、横町の再現というか、そやから世界の屋台村をつくりたいわけやね。屋台をビジネスにできたらいいね。屋台にはすべてが凝縮されてると思うねん。そやから片手にモバイル、片手にたこやき、こんなスタイルで世界を走り回ってるんや。
餃子丸 1セット
ニューヨーク123番街 店内
 たこやきは屋台の原点みたいなものやし、たこやきを通して世界を見たい、そして世界のたこやき的なものを日本へ紹介したい。ポッフェルチェスもそのひとつ。そのためにはお金がない、自信がない。それくらいがちょうどいいねん。これ大事な要素やね。理屈こねるようになったら、コメディアンもおしまいでしょ。その感覚よ。
 竹本さんの猛烈な話術にひたりながら、大阪商人もまだまだいける、そんな勇気が湧いてくるのであった。

以上、熊谷 真菜

《探偵メモ》

店 名香港餃子丸
住 所岸和田市港緑町3-1 岸和田ベイサイドモールニューヨーク123番街 内
南海本線 岸和田駅下車海側へ10分
TEL0724-36-9434
営 業AM11:00~PM23:00
定休日無休 
席 数共用座席スペースを利用

H12.3.21現在のメニュー

香港餃子丸 8個350円
ポッフェルチェス 10個 180円

探偵のコメント探偵のコメントカメラマン・夕子さんのコメント
今回の取材は真菜さんとフード関係のプランナーの稲本さん、カメラマンの夕子さんという大所帯で行った。
ニューヨーク1.2.3番街というフードコートの店の中にある「香港餃子丸」という屋台。餃子丸は外見はたこやきで、食べてみると中はニンニクやひき肉といった餃子の具が入っている。かけるのは餃子のタレ(酢じょうゆ)。食べた感想はそのまま餃子の味。あきらかに餃子ですが、なかなかいけます。
もっとも餃子を味わうのなら本物の餃子を食べるといいのでしょうけど。

さて、前の日に「大阪ほんわかテレビ」で「中途半端なもの」(ちゃらんぽらんのギャグやなあ)と紹介されていたからか平日の月曜にもかかわらずけっこう混んでいました。
もともと、たこの食べられない外国人もたこやきを味わえるということで具を天心にしようと発想したのがこれで、香港の屋台で販売したら好評で日本にももってきたそうです。
でも、ちょっと予想外の食べ物でびっくりしました。

ちなみに仕掛け人の株式会社タケモトフーズの社長さんですが、現在ATCのひふみ横丁「大入」たこやきを初め、ベルギーワッフルやエッグタルトを屋台で売ってブームを起こした屋台ビジネスの仕掛人だったのです。
今もNGKの横で人気のたこ焼き店ワナカを始めた人でもあるそうです。

岸和田カンカンモール(イズミヤ、専門店)、ベイサイドモール(アウトレット、シネコン)って南海岸和田駅から海側に徒歩10分くらいで、思ったより近くでした。でも、海沿いですから取材時の2月、風がつめたかった。
きっと暖かくなると、夏の夜などアベックや若者連れでにぎわうことでしょう。

(桑探偵、多忙のため取材に参加できず。)

南海岸和田駅から、新しめの商店街のアーケード、そして昔ながら風の商店街を抜けたら、そこは広大な近代的ショッピングモールだった・・・
 モール自体がそうだが、さらに、餃子丸のいるフードコートは、天井の高さといい、カラフルなインテリアといい、アメリカにいるのか、と錯覚してしまうような雰囲気。
竹本社長のお話を聞いて納得。社長は、世界各国の食べ物の現場を研究してまわられていて、このコーナーは、ニューヨークの雰囲気をなるべく忠実に再現したのだという。社長は、ほんとにこだわりの人!食べ物の開発だけじゃなくて、屋台や、食べ物の入れ物、などまで、全て自分がデザインしないと、意味がない、と言い切る
ヨーロッパやアメリカの食べ物の写真(広告などの)が好きで、日本の食べ物の写真は気に入らないから、と、あえて写真家を雇わず、自分自身がカメラマン、社員をアシスタントに、フードコートの食べ物のディスプレーを撮影した(社長、おみごと!)などというエピソードが印象に残った。これまでの過程や、屋台フードにかける夢を、すごく楽しげにお話しされる、童心を忘れないインベンターといったところ。感銘を受けました・・・
 さて、肝心の「餃子丸」。社長自らの手で運ばれてきたそれは、粒は大きめ、こんがり黄金色で、とってもおいしそう!さっそく口にほおばる。「あちちっ!」食感は、ぷるぷるしてとても柔らか。蛸ならぬ餃子同様のお肉がホロホロと口の中にこぼれる。たこ焼きと餃子が合体したものなんて、体験前は全く想像できなかったが、食べてみてナットク。酢醤油風たれをかけて食べるのだが、美味!!です。熱心に社長のお話に耳を傾ける、真菜さんや、他の探偵団の方を尻目に、私の熱い視線は、餃子丸に注がれる。「もう一ついいですかあ?」と、ついつい手が伸びてしまうおいしさでした。
 最後に、パスタや、ワッフルなど、あらゆる食べ物を売っている社長のフードコートの中で、餃子丸の屋台は、どちらかというと奥ゆかしい存在に思えた。もっと、単独堂々と大阪のあっちこっちの街角に進出していって欲しいなあ。私は、「イケる」と思いました。もういっぺん食べたい!

※この情報はインターネット黎明期である1995年に開設された世界で初めてのたこやき専門ウェブサイト「熊谷真菜のページ」内の、これまた世界で初めてのたこ焼き食べ歩きサイト「月刊たこやきめぐり~なにわのたこやきめぐり」に掲載されていた情報です。
※お店の住所・電話番号・価格など、内容は特に記述のないものは取材当時のものです。
※お店の公式サイトなど、リンク先が閉鎖されたり変更されている可能性があります。
※紹介したお店はすでに移転・閉店されている場合がありますのでご注意ください。

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